2007年11月10日土曜日

No.00012 外資系損保Aの保険金不払い

 

 もうそろそろ時効だから、話してもいいだろう。

 私の友人 ——仮に田中さんとしておこう—— から聞いた話である。田中さんはその友達の鈴木さん(仮名)の車に乗せてもらって、高速を走っていた。鈴木さんが運転を誤ってガードレールに追突した。車は大破、運転者の鈴木さんも同乗者の田中さんも、重傷を負った。

 車両の損害と鈴木さんの怪我については、ここでは本論でないから述べない(詳しく知らない)。田中さんから聞いた、田中さんの怪我の治療費と休業補償についての、外資系保険会社Aの詐欺的対応をここで指摘する。

 鈴木さんの加入していた任意のA社自動車損害保険は、搭乗者障害も担保されている保険であったので、田中さんの怪我の治療費と休業補償についてはお金がおりるはずである。これは田中さんがA社に確認を取った事なので、間違いがない。

 さらに田中さんは念のために、お医者さんの指示によって決めた治療方針を、欠かさずA社の担当者に連絡をしていた。A社の担当者は常に人当たり良く、お見舞いの言葉とともにその治療方針を確認していた。

 ここまでは何の問題もない。田中さんの行動に落ち度はないだろう。

  そして田中さんは、治療費および休業補償の支払いをA社に求めた。すると今までの慇懃な態度が一変して、担当者は「1万××円のみは支払うが、それ以上は 支払えない」という。田中さんは保険 の約款のコピーを見ながら、自分の場合は支払いに相当するはずだと主張したが、A社の担当者は「支払えない」の一点張り。「治療の内容も今まで全部報告し て、あなたはそれを了解していたではないか」という点についても田中さんは言ったが、「とにかく支払えない」としか返答が返ってこなかった。

 どうにも埒があかないので、仕方なく一旦は電話を切った田中さん。もう一度良く約款を確認してみたが、どう考えても支払われない理由はない。そこで翌日田中さんはA社に電話した。

 けれども結果は昨日と同じであった。担当者はとにかく「支払えない」としか言わない。その理由の説明もしない。そんなバカな話はないだろうと、田中さんは強く主張したが、押し問答になるだけであった。

 納得できない田中さんは、当然ながら強く強く主張を繰り返した。するとA社の担当者は、自分の上司に電話を代わった。その上司は何と言ったか。

  その上司はいきなり「1万××円で納得するならすぐに支払うが、不満があるのなら1円も支払えない。1万××円で納得できないのなら、後は弁護士を通して 下さい。弁護士の連絡先は××です。これ以上こちらの窓口では対応しません。」と言った。いった いどういう事か。たった2回目の電話で、しかも田中さんは正当な主張をしているのにも関わらず、いきなりの「弁護士を通して下さい」の台詞。憤りにかられ た田中さんが、少しは訴訟事に詳しい私の所へ、助けを求める電話をしてきたのであった。

 詳しい内容を確認した私は、「A社の対応が許せないというのであれば、徹底してやんなさい。しかし勝ったところでその手間ひまを考えると、得するかどうかは解らない。それだけの手間ひまをかけるのがもったいないのであれば、ほっておくしかない。」と答えた。

 どう考えても、その保険金は支払われるべきだし、実際に裁判にでもなれば、田中さんが勝つだろう。これは外資系の非常にあくどいやり方なのだと、私は気づいていた。

  多くの人は、人生の内で警察のご厄介になったり、裁判沙汰になるような出来事に遭遇する事はない。そういうことは稀な出来事である。だからいきなり「弁 護士を通せ」などと言われると普通の人は身構えるし、多くの人は、そこで引いてしまうだろう。

 さらに、例えばその怪我の治療費、入院費、また休業を余儀なくされたための生活費など、目先のお金がどうしても必要な人は、納得いかないままでも損保言いなりのお金を受け取ってしまうのではないか。

 これが外資系の保険会社のやり口なのだ。何とあくどい卑怯な手口だ。


  「弁護士を通して話をする」というのは、法的に全くなんら問題のない行為である。だからA社を法的にとがめる事はできない。しかし普通の人にとって「弁 護士を通せ」というのは、事実上の脅しである。相手が訴訟のプロ(弁護士)を雇うならば、こちらもプロ(弁護士)を雇わねばならないだろう。手間も費用も かかりそうだ。ましてや裁判にまでなれば、どうなるのか。負ければ大損だろうし、勝った所で、手にする金額はその手間と心労を勘案すると、決して得ではな いだろう。多くの普通の人ならこのように考えるのではないか。

 それがン千万円の額になれば、話は違ってくるだろう。弁護士を雇ってでも訴訟を起こしてでも、手に入れる値打ちのある正当なお金である。しかしン十万円単位の金額ならば、「わざわざ弁護士を雇ってまでも…」と泣き寝入りする人が多いのではないか。

 「弁護士を通せ」というのは、まさに脅しである。多くの人は、正当な保険金をあきらめる事になる。損保にとっては、もし支払いの訴訟を起こされたとしても、本来払わねばならない金額を払うだけである。何も損はしない。

 このA損保は、恐ろしい詐欺師集団である。保険料の不払いで、日本の保険会社も糾弾されたが、日本の保険会社は頭が悪いというかまだまだお人好しである。外資系は長年蓄積した人を騙すノウハウを持っているので、日本の会社のようにボロを出す事がない。

  結局、弁護士を立てて争った田中さんは、裁判にまでもつれる事なく、請求した金額全額をA社から勝ちとった。田中さんが弁護士を立てて本気であらそう姿 勢を見せたとたん、A社は比較的あっさりと田中さんの請求を認めた。やはりA社の「弁護士を通せ」は、保険金支払いを拒絶するための合法的「脅し」であっ たのだ。

 だから、もし外資系保険会社の不合理な「支払い拒否」にあった人は、少なからぬ時間と労力と金銭の出費はあるだろうが、徹底し て戦う事をお勧めする。そ れが次の「支払い拒否」に泣き寝入りする善良な人々を救い、私たちの真っ当に働いた貴重なお金を、不当に外資に取られない礎となるからだ。

【今日の詐欺師:外資系損保A社】